マウスピース矯正のデメリットとは|メリットやワイヤー矯正との違いも紹介
矯正歯科
ワイヤー矯正とは違い、痛みが少なく器具も目立たない歯列矯正が「マウスピース矯正」です。メリットが多い方法ですが、マウスピース矯正にもデメリットがあります。矯正を行うなら、デメリットについても把握しておきましょう。
マウスピース矯正によるデメリット・メリット・ワイヤー矯正との違いなどを解説します。参考のひとつとして、ぜひ記事の内容をご確認ください。
目次
マウスピース矯正とは?

マウスピース矯正とは、透明なマウスピース型器具で歯を動かす歯列矯正の方法です。定期的にマウスピースを交換しながら、少しずつ歯を動かしていきます。
接客業や営業職などで、「人と話す機会が多くて目立つ器具を使うのは難しい」と考えるかたも多いのではないでしょうか。そんなかたは、透明で器具が目立たないマウスピース矯正がおすすめの方法です。歯並びが気になっているのなら、マウスピース矯正を検討してみましょう。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正による代表的なデメリットは次の6つです。
・装着時間が長い
・症例によっては適応できない
・紛失リスクがある
・自己管理が求められる
・歯を削る場合がある
・マウスピースのお手入れが必要である
6つのデメリットについて、それぞれ紹介します。
装着時間が長い
マウスピース矯正には、装着時間が長いというデメリットがあります。ワイヤー矯正と違って、マウスピースは取り外しが可能です。しかし、長時間マウスピースを装着していないと、期待する効果が得られません。
種類にもよりますが、マウスピースは20時間以上の装着が基本です。次のようなとき以外は、マウスピースを装着している必要があります。
・食事のとき
・歯磨きのとき
・仕事で必要なとき
ただし、必要があれば取り外せることはメリットだともいえます。効果を高めるためにも、マウスピースは医師の指示通りに装着しましょう。
症例によっては適応できない
マウスピース矯正は、症例によっては適応できないこともデメリットです。外科手術が必要な難しい症例の場合、マウスピース矯正では対応できません。重度の叢生や顎変形症などの場合、マウスピースによる矯正は難しいでしょう。
ただし、近年は技術の改良が進み、対応できる症例が増えてきています。マウスピース矯正で対応できるかは、まず医師に相談してみてください。
紛失リスクがある
ワイヤーと違い、取り外せるマウスピースには紛失のリスクがあります。マウスピースをなくしてしまうと、再び作らなくてはなりません。
再び作るとなると、費用がかかるうえに、マウスピースのない期間が生じてしまいます。マウスピースのない期間が長くなると、歯がもとの状態に戻ってしまう可能性があるため、紛失には注意が必要です。
紛失しないよう、マウスピースを外したら必ずケースに保管しておきましょう。
自己管理が求められる
マウスピース矯正は、自己管理が求められることもデメリットのひとつです。矯正の効果を出すためには、決められた時間マウスピースを装着しなくてはなりません。また、面倒だとしても、食事や歯磨きのときには毎回マウスピースを取り外す必要があります。
自己管理が苦手なかたは、マウスピース矯正が合わない可能性があるでしょう。面倒だと感じるようなら、ワイヤー矯正も検討してみてください。
歯を削る場合がある
マウスピース矯正では、健康な歯を削る場合があります。歯を削らなくてはならない理由は、歯を移動するスペースを確保するためです。歯を削るのが苦手な人にとっては、大きなデメリットだと感じられるかもしれません。
ただし、削ることによって、抜歯しなくて済む可能性があります。デメリットではありますが、削る場合も数ミリ程度であるため、それほど気にならないでしょう。
マウスピースのお手入れが必要である
お手入れが必要であることも、マウスピース矯正で考えられるデメリットです。長時間マウスピースをつけていると、汚れが付着してしまいます。ただし、お手入れ自体は難しくありません。
食事や歯磨きでマウスピースを外したら、柔らかいブラシで汚れを洗い落としましょう。お手入れでは、マウスピース専用の洗浄剤を使うと、さらに効果的です。虫歯や歯周病を防ぐためにも、毎日しっかりとお手入れをしましょう。
マウスピース矯正のメリット

デメリットはあるものの、マウスピース矯正はメリットが多い方法です。マウスピース矯正の代表的なメリットについても見ていきましょう。特に大きなメリットは次の4つです。
・目立たず取り外しもできる
・痛みが少ない
・食事や歯磨きへの影響が少ない
・アレルギーのリスクが少ない
メリットについてもひとつずつ紹介しますので、方法を検討するうえでの参考としてチェックしてみてください。
目立たず取り外しもできる
マウスピース矯正は、器具が目立たないという大きなメリットがあります。矯正で使われるマウスピースは透明な合成樹脂です。そのため、ワイヤー矯正と違って目立ちません。どうしても必要なときは、マウスピースを取り外せます。
矯正はしたいものの、ワイヤーが目立つのは困るというかたも多いのではないでしょうか。なるべく目立たない方法で矯正をしたいのなら、マウスピース矯正が向いています。
痛みが少ない
マウスピース矯正は、痛みが少ないことも大きなメリットです。ワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正は痛みが少ないとされています。そのため、痛みに弱い人でも利用しやすいでしょう。
ただし、歯を動かすため、マウスピース矯正でも痛みを感じることがあります。虫歯や歯周病によって痛みが出ることもあるでしょう。そもそも、痛みの感じ方には個人差があります。「まったく痛みがない」というわけではないため、注意してください。
食事や歯磨きへの影響が少ない
マウスピース矯正は、食事への影響が少ないこともメリットです。ワイヤー矯正では、器具が抜けないよう食事に気をつけなくてはなりません。たとえば、ワイヤー矯正の場合は、次のような食べ物を避ける必要があります。
・歯に挟まりやすい食べ物(例:ニラ・ねぎ)
・粘着性がある食べ物(例:ガム・キャラメル)
・強い力で咀嚼する必要がある食べ物(例:硬いパン・するめ)
ワイヤーは取り外しができないため、歯に挟まりやすい食べ物や、粘着性がある食べ物はNGです。強い力で噛まなくてはならない食べ物も避けましょう。
しかし、マウスピース矯正であれば、基本的には普段どおり食事ができます。
歯磨きへの影響が少ないことも、マウスピース矯正を選ぶ大きなメリットです。マウスピースを取り外して歯磨きができるため、口内のケアがしやすいでしょう。
アレルギーのリスクが少ない
マウスピース矯正には、アレルギーのリスクが少ないというメリットもあります。
マウスピース矯正で使われている素材はメタルフリーです。そのため、金属アレルギーが心配なかたでも安心して使えるでしょう。
ただし、ワイヤー矯正でもアレルギーが出にくい素材もあります。アレルギーがある・アレルギーが心配、と言った場合は、まず歯科医院で相談してみてください。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い

歯列矯正をするのなら、ワイヤー矯正を選ぶ方法もあります。どちらの方法で矯正するかは、医師と相談して比較したうえで決めましょう。違いを知るために、それぞれの特徴を表で紹介します。
| ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | |
| メリット | ・対応できる症例が多い
・比較的矯正の期間が短い |
・比較的痛みが少ない
・透明で目立たず取り外しできる ・アレルギーのリスクが少ない |
| デメリット | ・歯磨きや食事がしづらい
・痛みが出やすい ・ワイヤーが目立つ ・取り外しできない |
・自己管理が必要である
・お手入れの手間がかかる ・装着時間が長い ・対応できない症例がある |
器具が目立ち痛みも出やすいワイヤー矯正ですが、さまざまな症例に対応できるというメリットがあります。
痛みは比較的少ないものの、マウスピース矯正は対応できる症例が限られていて、自己管理が必要です。
どちらの方法が向いているかは、その人によって違います。歯列矯正を行うにあたっては、医師と相談して自分に合った方法を選びましょう。
マウスピース矯正にかかる期間の目安

マウスピースを使った矯正にかかる期間の目安も見ておきましょう。矯正にかかる期間は、範囲によって違いがあります。
前歯のみのマウスピース矯正なら、かかる期間は2か月~1年が目安です。歯列の乱れが少ない人の場合は、数か月で矯正が終わる可能性があります。
奥歯も含めた全体をマウスピース矯正する場合、期間は1~3年が一般的な目安です。矯正前の状態や、抜歯の有無などによって矯正にかかる期間は大きく変わってきます。歯並びの乱れが大きくて抜歯が必要な場合は、治療期間が長めです。
実際どのくらいの期間がかかるかを知りたいときは、医師に相談してみましょう。
マウスピース矯正はメリットが多い方法
デメリットもありますが、マウスピース矯正はメリットが多い方法です。マウスピース矯正なら、食事や歯磨きのときは器具を取り外せます。ただし、マウスピース矯正には自己管理が必要です。
人によっては、ワイヤー矯正が向いている可能性もあります。矯正を考えているのなら、医師に相談したうえで、どちらの方法にするか検討してみましょう。
1987年 九州大学第1補綴学教室文部教官助手
1989年 西原デンタルクリニック勤務
1992年 福岡県福津市(旧宗像郡)にて開業
2005年 久留米大学医学部にて学位取得(医学博士号)
2007年 九州大学歯学部臨床教授
2011年 鹿児島大学歯学部非常勤講師
日本歯周病学会 指導医・専門医
日本顎咬合学会 指導医
近未来オステオインプラント学会 指導医
日本審美歯科協会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本補綴歯科学会 会員
米国歯周病学会(AAP)会員
米国インプラント学会(AO)会員
京セラメディカルインストラクター
Japan United Colleagues(JUC) 名誉会長 OJ相談役


