正常な人に比べて歯の本数が足りない「先天性欠如」の状態になっている方が徐々に増えて始めています。
この先天性欠如の特徴や原因と、その治療法についてご紹介していきます。
先天性欠如とは
「先天性欠如」とは、乳歯が抜けても永久歯が生えてこないという、歯(永久歯)の本数が少ない状態になってしまう歯の形成異常の1つです。
原因は未だはっきりと解明されていませんが「遺伝」や「妊娠中の母親の栄養不足」「薬物乱用」など、先天性な事情が関係していると見込まれています。
正常な方の場合、おおむね6歳前後で乳歯が徐々に抜けていき永久歯が生えてきます。
永久歯の本数は正常な方の場合は28本前後ですが、先天性欠如の方の場合、6歳以降も永久歯が生えてこず、最終的な永久歯の本数が20本~25本程度と少ないのです。
歯の本数が少ないと歯と歯の間に隙間があるので「歯並びが悪くなる」「食べかすや病原菌が隙間に付着し虫歯になりやすくなる」「食事や発声がしにくくなる」といったリスクが生じてきます。
子どもと若年者の治療法
小学生以下の子どもの場合は、先天性欠如と判断されても基本は経過観察となります。(あまりに噛み合わせが酷い場合などは、
矯正治療を行う場合もあります。)
中学生~20代くらいまでの若年層の場合は、乳歯を強制的に抜歯し、矯正器具により歯の並びを改善して隙間を生めていきます。
先天性欠如の場合は永久歯を生えさせるのは難しいため、歯科矯正により歯並びを改善して隙間をカバーする治療がメインとなってきます。
30歳以降の治療法
30歳以降となると、それまで抜けずに残っていた乳歯は
年齢的に自然と抜け落ちていき、乳歯も永久歯もない状態となります。
この年齢で先天性欠如に気づいた場合は、治せそうな状況であれば矯正器具で歯並びを改善することになります。
ただし30歳以降になると年齢的に歯科矯正による効果も薄れてくるので、歯科矯正で治療が難しい場合などは、インプラントや入れ歯などを隙間に装着する形で対処していきます。
先天性欠如の発生率
先天性欠如は、おおむね10人に1人がなっているといわれているため、それほど珍しいものではありません。
また、近年は徐々にではありますが、先天性欠如の発生率が増えてきています。
今後はさらに増えていくかもしれないので、小さい子どもをお持ちの方などは、一度子どもの歯をよくチェックしてみましょう。
先天性欠如は年齢を重ねることに歯の矯正治療をするのが難しくなってきます。
もし成長期を迎えても乳歯が抜けなかったり、永久歯が生えてこなかったりした場合は、歯科医による診断を受け、できるだけ早い時期から治療を進めていくようにしましょう。